Prussian blue

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※※※※※※※※※※※   SNS のとぼけたような通知音に、朔は目を覚ました。血だらけのシーツに裸でくるまり、重なるように寝ている明の頭の上を通り、スマホを手に取る。 [ おーい、寝坊助どもー。 2 限来いよ!発表だからな!? ] 寝起きのぼやけた頭で、スマホのスケジュールを確認する。そういえば、今日は大学の基礎ゼミで、明のグループの発表があったのだと思い出した。時刻を確認すると、もうすぐ 1 限が終わる時間だった。 「明、起きて。今日、発表だったろ?」 「ん~…ねみぃ…」 ピクリと眉が動くが、瞼を開く気配はない。 吸血鬼の性質を朔より強く持っている明は、朝が弱い。毎回、起こすのに時間がかかった。 「ねぇ、明、後藤に怒られるよ?」 LINE の送り主の名前を言いながら、明の肩を揺する。すると、ようやく明の瞼が薄く開いたと思った瞬間、手首を掴まれ、やや強引に引っ張られた。バランスを崩して明に覆い被さる。 「…朔…朝ごはん」 甘えた声で、明がねだった。 「ダメだよ、時間な…」 「腹、減った…朔」 「っ…」 掴んだ手首を舐めながら、再び甘えた声で明が言う。 ーーーその言葉には、逆らえない。
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