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「そこでラリってたわけか」
「うぜーよ、関係ねーよ」
理沙は俺が10年前に会ったことのある刑事だとまだ気がついていないようだ。
峯岸とはきっと安東だ。
アドバンテージは少しあったものの、後
ろから猛進してくるベンツの威力は凄まじく、国道に入ってからもぴったり後についてきた。
こっちもスピードを上げる。
あの日。
10年前。
理沙の父・天堂宗一を追い詰めていた俺は、そこである事態に出くわした。
部下の石川刑事と張り込み中、天堂家から鉄砲玉が、まだ10歳の理沙を人質として抱えて、外に出てきた。
石川と俺は、張り込みを止めて、覆面車の外に飛び出した。
鉄砲玉は天堂家への殴り込みに失敗し、屋敷にいた理沙を人質にして逃げようとしていた。
俺と石川は応戦し、人質を離すように言った。
だが錯乱していた鉄砲玉は、天堂組の組員の追撃と、俺ら刑事の追い込みに混乱をきたし、拳銃を構えた石川をいきなり撃った。
狂ったような雄叫びをあげて、鉄砲玉は石川に3発撃った。
石川は、大量の血を撒き散らして即座に転倒。
だが息も絶え絶えで、前が見えなくなっていた石川は、まだ拳銃を振り回していたが、前が見えない状態で、誤ってリサに拳銃を向けて撃とうとしていた。
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