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理沙が撃たれると思った俺は、石川の拳銃に向けて発砲した。
石川の拳銃は弾き飛び、石川は銃の引き金を引いた後だったが、拳銃が弾け飛んだことで、石川の撃った弾丸は、幸い方向を狂わせて、鉄砲玉の背後の壁にめり込んだ。
だがその隙に、鉄砲玉は錯乱して、理沙を撃とうとしていた。
俺はすかさず、残りの弾丸を鉄砲玉の体にぶち込んだ。
だがその時、理沙は殺される寸前の恐怖に怯えている状態で、自分の体を抱いている男が血まみれで死んでいくのを、男に体を密着させた状態で体感してしまった。
俺はその後、鉄砲玉をむやみに射殺し、人質の安全もろくに考えなかったと判断され、大きく懲罰を受けた。
おまけに相棒の後輩の石川まで死なせてしまった。
その後、警察を辞めざるをえなくなった俺は、しばらく自暴自棄となり、妻とも離婚。
子供たちも、世間体を考慮して親権は妻の方に移った。
俺は一人ぼっちで、酔っ払いながら荒れ果てた後、そのうち探偵になった。
だが一番壊れてしまったのは理沙だった。
10歳の子供が、あれほどの恐怖とショックを受けて壊れないわけがない。
その後、理沙が引きこもりの生活と、夜な夜な狂ったように遊び呆ける生活を繰り返すようになった事は伝え聞いていた。
補導歴もハンパなかった。
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