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「いや、まあそうだが」
「そのままで、後どのぐらい持ちこたえられるんだ?こっちも飛ばしてるが、いまの状況はどうなんだ?」
「ああ、何とかするよ。何とかするしかねーだろ」
「そうか、それでこそあんただ。もう少し待ってろ。今デコトラ飛ばしてそっち向かってるからよ。10台は各地から集結するだろうから、それまで持ちこたえられるよな。どいつもこいつも蹴散らしてやるからよ!」
「ああ…広岡、ありがとな」
「あんたには借りがあるからな。そいつは俺の人生できっちり返させてもらうよ、じゃあな」
携帯の相手からの電話は切れ、だみ声はやんだ。
広岡。
あの赤毛のモヒカン野郎め。
あいつはデコトラ系の中古車屋をやってる関係から、デコトラに乗ってる連中に顔が広いのは知っていた。
しかし?
今何で、俺がこんなやばいカーチェイスをやっていることが奴にわかったのか、俺にはわからなかった。
広岡は俺の居場所まで把握していたが。
ひょっとして…
俺は自分の胸のネクタイピンを見た。
こいつは、この間、バーテンの店OLD DICKに行った時、来店記念だとかでバーデンからもらったものだ。
だがこれはただのネクタイピンではないんじゃないか?
ひょっとして…
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