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「……さて、どう見ますかな、リィン特務大佐」
「何それ」
「ああん、もうノリが悪い!」
「ルミナが変なだけでしょ」
リィンとルミナの両名は、昼食もそこそこに、レオと打ち解けているアリサ……彼が雷電であることを彼女等は知らない……に注目していた。と言うより、リィンからアリサへの、何かしらの感情に気付いたルミナが、面白半分に余計な気回しをしている、と言う方が、表現としては適切かもしれない。
「ほらほら、あのレオ=クライスンが笑顔を振りまいてるよ。あの選民思想論者が」
「スポーツが出来る人をいちいち目の敵にするのはよそうよ」
「するね! 先天性に左右された順位付けなんぞに縛られる私じゃあないよ!」
「じゃあテストも?」
「あれは段階ごとに純粋な能力を測るから」
「勉強は出来るからって……」
とはいえ、今日のリィンは精彩を欠いた。午前中の四時限は、どこか集中していない風情で、中空に視線を泳がせてはシャーペンを取り落としていた。
見るからに異常な雰囲気に、ルミナはフォローせざるを得なかったのだ。その方法は、覗き見なのだが。
「リィン、アンタは彼にイかれてしまったのさ。今日は私も用事があるから、真っ直ぐ家に帰りな、そして」
「何それ」
「……うん、重症だわ」
何かを諦めたような表情で、ミリィは焼きそばパンを齧った。
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