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雷電はスクールバッグを片手に、迷いなく廊下を突き進んでいた。
ようやく放課後となり、レオに部活見学を勧められたが、やんわりと断っておいた。それよりも優先すべき事項がある。
胸元のポケットから、折り目のついた紙を取り出す。それは仕事ではなく、この折り紙に従い、屋上へ向かう事だ。校内の見取り図は、あらかじめ頭に入れてある。
数分と経たずにたどり着いたのは、校舎屋上前、生徒の侵入を阻むために、厳重に施錠された扉だ。学内では最高級の対超能力防御が施されており、仮に突破されても、職員室へ通報されるシステムになっている。少なくとも、一般的な高校生に対する防御として、隙は無いだろう。
なかなかのものだ、と感心していると、背後で足音がしたので、反射的に振り返る。
咄嗟に曲がり角に隠れる影。その正体、ヒントはある。一瞬だけ目にした髪型と髪色。そして、驚き上げた声。
「……リィン=ヒューズ、さん?」
その推察は当たっていたらしく、弱弱しい返答が曲がり角越しに聞こえた。
「手紙をくれたのはあなた?」
「ッてってッ手紙なんて知りませへんよォ!」
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