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「そうか……じゃあ、なんでコソコソしてたんです? 訳も無く、こういうことをする人には見えなかったし、感じなかった」
「えっ? へっ、とぉー……ですねぇー……」
「……まぁいいです」
「あっあの! 私は!」
意を決してか、勢いよくリィンが曲がり角から飛び出す。
「すいません、私は用事があるんで、外していただいてッ」
銃声……それは一瞬の出来事だった。
雷電の立っていた地点……屋上への扉の前……の天井を貫いて、弾丸が放たれた。天井から雷電の脳天までの距離は、二メートルに満たない程度の、ほんのわずかな距離だが、雷電はこれに反応し、弾丸を目視。明確に最小限の体捌きでこれを躱すと、体捌きの勢いのままリィンに向け突進。腰を両腕で巻き込むように抱えると、ガラス窓を蹴破って四階から飛び出し、そして、そのまま落下するのではなく、上方からの弾丸を回避しつつ、校舎の外壁を駆け下る。
その目の前の裏庭に、前触れも無く少女が姿を現した。その者は雷電に対して背中を向けているが、長い黒髪と学校の指定制服から少女であると判断した。
少女が身を翻して雷電に狙いを定めるよりも早く、雷電は壁を蹴って何処かへと飛び立った。
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