12:嫌な予感

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「何でそんな話」  話題を変えたい。無愛想に言い放ち、湊斗は隣に座る義行からわざとらしく顔を背けた。 「――俺、ホントは湊斗に言わなきゃと思って、こうして会えるのを待ってたんだ。でも多分、言ったら気分を害する。だけど、お前ンち、母ちゃんとお前しかいないじゃん。そうなったら、母ちゃんに忠告できるのはお前一人しかいないわけで」  うつむき、なにやら曰わくありげに語り出す義行が少し気になった。向き直り「何だよ」と言うと、義行は人目をはばかるように肩をすくめ、左手で口元を隠しながら湊斗の耳に囁いてきた。 「お前の母ちゃん、子供相手に商売してるぞ」  一瞬、耳を疑った。 「義行、お前何言って」  笑って見せたが、目は笑えなかった。 「嘘じゃない。ホント。俺、見かけたんだよ。子供……そうだな、俺らくらいの少年引き連れて都営団地ンとこ歩いてんの。そのまま、お前ンちがある棟に入ってった。悪いけど、俺、前からお前の母ちゃんが何してるか知ってンだ。行為自体犯罪だけど、相手が少年となると――かなりやばいぜ。警察にしょっ引かれるのは時間の問題かもな」  湊斗の中で、何かが壊れた。     
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