12:嫌な予感

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 その台詞を待っていましたとばかりに、柳澤は一段と笑みを濃くした。 「話が早い。流石元刑事さん。伊達に頭はよくないですね」  無理におだてたようなことを言うが、本当は柳澤は全部知っているのではないかと勇造は感じていた。勇造の過去も経歴も、便利屋がどんな職業でどれくらい動きやすいか。知っていてワザと知らない振りをし、丸め込むような形で自分の都合のいい方向に話を持って行く。やっかいな相手だ。だが、彼を利用しなければ、湊斗の中にうごめいているかも知れないナノの正体を突き止められないのも、また事実だった。
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