8人が本棚に入れています
本棚に追加
その横で水田は、あきれたように頭を抱える。
「ま、社長はお前なんだから、文句は言いたくないが」
困ったヤツだと言わんばかりに水田は立ち上がり、
「トラブル自分で持ってくるのはやめてくれよ。責任もって解決できるようじゃないと、後々苦労するぜ」
そのまま「帰る」と手を振った。
アルミの引き戸が閉てられ、水田がいなくなった室内は急にシンと静まった。
窓の隙間、すぐそばで鳴き続けるコオロギの、哀愁漂う声だけがいつまでも響いていた。
最初のコメントを投稿しよう!