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「じゃあ、行ってくる」
そう言い残し、我が同居人は西に旅立った。二週間の出張らしく、荷物は多めである。
同居人の名は櫻井。こちらのことなどお構いなしに、荷物を持って押しかけてきた奴である。
出張が多い仕事柄、奴が持ち込んだ私物は多くはなかった。しかし、持ち込んだ私物が少ないだけで、家賃に回していた分を家電に回し続けている。
先ずは、二人分の食糧が余裕で入る冷蔵庫。それから、櫻井不在時にも活躍するお掃除ロボット。五輪を前にしてテレビや録画再生機も購入し、調理家電も何やら増えた。
家電だけではない。大食漢が故に食品は買い込まれ、何種類もの塩や酒も収納場所に詰め込まれた。また、木を植えるためにスコップも買いやがったので、それもひっそりと保管されている。
奴の不在に「亭主元気で留守が良い」なんて浮かんだが、そもそも夫婦ではないし、法律的になれはしない。いや、法律的になれてもお断りだが。
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