二話

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二話

あれから私の生活はすこし変わった。 夜の繁華街を出歩く代わりに、学校が終わるとセンセイの家に寄る。そして家事をやったり、アヤちゃんの遊び相手になって留守番する。掃除や洗濯だけでは暇すぎて、ご飯を作るために料理本を読み込んだりもした。 甲斐あって、日に日にレパートリーが増えていった。お金よりも、アヤちゃんがご飯を食べて「美味しい」と笑ってくれるのが、今まで感じたことがないぐらいに嬉しかった。 時折センセイの家に、「職員」の人が尋ねてくる。なんの職員かは知らないけど、普通のおばさんで毎回同じ人だった。そして家のこととか、センセイのこととか、普段なにをして過ごしているとかを聞かれる。 センセイにクギを刺されていたのもあって、私は普通以上に「優等生」を演じることになった。空いた時間は勉強していることになったので、成績がどれくらい上がったかを見せなくてはいけない。空気を読んで勉強に力を入れることになった。 ある日、言葉の弾みで料理のシェフになりたいと口走ってしまった。それまで将来の夢なんて考えてなかったので、少なからずセンセイの家での経験も影響しているだろう。     
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