特別な日を君に

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 声に出そうとしても喉から息が抜けるだけで、うまく言葉にならない。ミカはそんな俺を愛おしそうに見つめ、耳元で囁いた。 「安心して。これでもう浮気はできないわ。あなたは永遠に私のもの。今日は私たちの特別な日になったの」  すっかり安心したようなミカの笑顔で、俺はワインに毒が入っていたことを悟った。視界にミカの赤い唇が滲んで見える。激しく痙攣して掌から指輪のケースがこぼれ落ちたのを最後に、俺の身体の機能は完全に停止した。
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