特別な日を君に

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特別な日を君に

 今日は特別な日だ。  俺はトイレの鏡の前で少し息を吐くと、ポケットからベルベットの小さな箱を取り出し、ゆっくりと開いた。以前ミカが素敵だと言っていた、上品な輝きを放つダイヤの指輪。  今までいろんな女と付き合い、身体を重ねてきた。ミカを泣かせるようなことも何度もあったし、その度にこの思い出のレストランで話し合い、彼女はいつも最後には俺を許してくれた。  俺はやっと気付いたんだ。生涯を共に過ごす相手はミカしかいないと。  ミカはまた俺が浮気したから、このレストランに呼ばれたのだと思っているだろう。確かにまた他の女と関係を持ったのは事実だ。だが、最後くらい、いいだろう?俺は今からミカに永遠の愛を誓うのだから。  俺は髪を整え、ミカの待つテーブルへと向かった。ミカはうつむいて赤ワインの入ったグラスを見つめている。  ミカ、今日は絶望の底からジェットコースターみたいに幸せの絶頂へ導いてやるよ。  俺は花束を持ってくるはずのボーイとアイコンタクトを交わし、ミカの目の前の席についた。 「・・・・・・」  ミカは虚ろな目で俺を見る。     
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