第1話

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なんだか帰る気がしなくて、足は勝手に都市の端を目指す。 そういえば、今日の警備担当の欄には『ミアハ』の名前があったはずだ。 都市の外壁まで歩けば、数少ない友人に会えるかもしれない。 特に何も思考することなく石畳の上を歩き続けていたが、不意に聴き慣れない音が耳に届いた気がした。 気のせいかと思ったが、足を進める度にその音はどんどん大きくなっていく。何かの楽器がメロディーを奏でている。 少しの間道なりに歩いていると、音が聴こえてくる方向が変わった。 道の外へ視線を反らすと、花畑の中に佇む大きな木が見えた。音の出処はきっとあの場所だ。
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