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「ヨル。悪いけど、花火ちゃんとの約束は延期にできるか?」
「ああ。大丈夫だ」
緊急事態だ。しょうがない。
花火には謝罪の連絡をした。今度会う時は、何か好物を買っていこう。
使者を通した部屋へ向かう間、なんだか妙な胸騒ぎがした。面倒事が起こらないことを心から願う。
都市の中心部に佇む、一際巨大な塔。
許可のない人間の立入が禁止されているこの建物は、人型が都市を管理するための中枢だ。
エレベーターで最上階まで登っていく。外の景色を見ると、日が沈み始めている。
花火はもう家へ帰っただろうか。そんな事を考えているうちに、エレベーターの振動が止まった。
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