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狂気を滲ませた男の瞳が煌々と光っている。
人型の感性を豊かなものにするため研究された疑似魂は、やはり失敗だったのだろう。
こんなにも悍ましい感情をもつロボットが出来上がってしまったのだから。
「お断りします。人型の都合でこの都市の人間を移送することは許さない。他を当たってください」
「これは要求じゃない。命令だ」
冷徹な声が部屋の空気を震わせる。
「勝手に言っていればいい。貴方みたいな人型がいる都市に、トモシビの人間は絶対に渡さない」
シノは臆することなく、男の目を睨みつけながらそう話す。
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