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もう外は暗かった。街灯が黄色い光を溢し、道を照らしている。
俺はどうしたいと思っているのだろう。
シノみたいに頭が切れないから、まだ現実味が湧いてこない。自分の思考をうまくまとめられない。
思い浮かんだのは花火の姿だった。
もう絶対にそこには居ないけれど。花火との約束の場所に足が勝手に進んでいく。
初めて彼女と出会った場所だ。
幸せそうにヴァイオリンを弾く花火の姿は綺麗で、もっと彼女を知りたいと思った。
花火の感情を理解すれば、俺自身の感情のことも分かるようになる気がした。
この継ぎ接ぎで出来たまがい物の心に、自分なりの答えを出せるかもしれないと。
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