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「うーん」
突然聞こえてきた呻き声に身体が跳ねる。明らかに人間の声だった。猫とか獣の類ではない。
木の反対側に周ってみると、声の主が気持ち良さそうに寝ていた。溜息をついてしまう。
「なんで…」
帰ったはずの花火が、無防備に寝息を立てていた。年頃の女性としてはあるまじき行為だ。
肩を揺らして起こそうとするが、なかなか目を覚まさない。どうしてこんな場所で熟睡できるのだろう。人型ではあるまいし。
諦めて頬を抓ってみると、だんだん瞼が開いてきた。まだ微睡みの中だが、もうすぐ覚醒するだろう。
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