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「んー、ヨル…?」
「風邪ひくから早く起きて」
やっと意識が浮上してきたらしい花火は、上半身をゆっくりと起こした。
背中に付いていた草がはらはらと落ちていく。まだ眠たそうに目を擦る花火は、なんだか人間の子供のようだ。
「なんでここにいるの?」
「それはこっちの台詞。今日は行かないって連絡したよね」
「私は…。なんとなく、待っていたらヨルが来る気がしたの。途中で寝ちゃったんだけどね」
そう言って笑顔を浮かべる花火を、いつの間にか抱きしめていた。
初めは腕の中でもぞもぞと動いていたが、少しすると大人しくなる。
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