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「どうしたの?何か嫌なことでもあった?」
「…なんでもない」
初めて俺を見た時に花火が見せた表情は、純粋な驚きだけだった。
初めは俺を警戒して笑顔を見せてくれなかったが、怯えられなかったことが何よりも嬉しかった。
もしアザミに受け渡す人間の中に花火が含まれていたら。想像してみると、怖くてたまらなくなる。
虐げられ、血を無遠慮に抜かれ、用無しになったら捨て去られる。花火の身にそんなことが起こったら、絶対に耐えられない。
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