第1話

34/43

45人が本棚に入れています
本棚に追加
/50ページ
「どうしたの?何か嫌なことでもあった?」 「…なんでもない」 初めて俺を見た時に花火が見せた表情は、純粋な驚きだけだった。 初めは俺を警戒して笑顔を見せてくれなかったが、怯えられなかったことが何よりも嬉しかった。 もしアザミに受け渡す人間の中に花火が含まれていたら。想像してみると、怖くてたまらなくなる。 虐げられ、血を無遠慮に抜かれ、用無しになったら捨て去られる。花火の身にそんなことが起こったら、絶対に耐えられない。
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加