第1話

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「ねえ!本当にどうしたの?」 肩をバシバシ叩かれて、随分と長い間花火を抱きしめていたことに気付く。腕を緩めて隙間をつくると、赤く染まった花火の頬が見えた。 そういえば、今まで誰かを抱きしめたことなんてなかった。落ち着きのない様子を見ると、きっと花火も初めてなのだろう。 花火は人間と人型を区別しない。 俺自身を一人の【人】として見てくれた。 よく分からないけれど、胸が形の無い色々なものに揺さぶられて、これが【愛おしい】なのかな、と思った。
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