6月の祝日

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「騒ぐな」 ジタバタするも口を押さえられている真横、サニーサイドストリートには男たちのデモ行進が近づいてくる模様。 コはクニのタカラだー! タカラダー! オンナはセイをカイホーしろー! カイホーシロー! ヨびサませよ、ハツジョーキー! ハツジョーシヨー! やだやだホント気色わる。民主主義にあやかって一様に叫ぶ彼らの瞳は死んでいる。 やがて行列が過ぎて行くと、男の手は私を解放した。 「ケホッケホッ…助けてくれたの?それとも」 「あんた、モジュール構成定義をまだ書き換えてないのか」 「モジュール…定義を?まさか」 「そうか、でもよかったな。何も知らないでよくもまあ今まで無事に。」 男は自分のヘッドホンを取り出し私に装着した。 カシャカシャ音はトランスミュージックの類いだ。夫が好んで聴いている。 「来年はベビーブームかもな」 私は答えなかった。 得体の知れない不安を払拭するために、音楽を従えたガイド音声に集中する。 (不安の概念を構成する全てのモジュールを削除しますか) 「はい」 思わず宙に向かい返事をした。データ量が多いのだろう、少し時間がかかったが、やがて気分が落ち着いてきた。 「恋の日だなんて設定が、大げさよね。」 世の中騒ぎ過ぎてる。それだけ。         
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