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「まだ食べてないし」
「じゃあ、食べる前の感想を」
「……いただきます」
「それ、感想じゃないよ」
「いいから食わせろ!」
大事な休み時間を咲良に奪われるなど、俺の腹が許さない。
このまま空腹のままでいると、次の授業中に激しく鳴る自信がある。そんな失態はしたくない。
やっとひと口、食べたところで咲良がペットボトルのお茶を出す。
「はい、お茶」
「早いわ!」
「喉つまるよ?」
「まだそこまで食ってねえよ!」
家でも学校でもこの調子。
だからクラスメイトに勘違いされる。
「また夫婦漫才?」
前の席に座ったまま振り返る日下部祐介。俺たちの親友。
「祐介くん、おはよう!」
「おはようはもう聞いたよ、一ノ瀬。にしても二人は相変わらず仲がいいね」
そんな祐介は相変わらず綺麗な丸刈り。
野球部だから仕方ないのかとも思うが、聞けばずっと丸刈りでお気に入りの髪型だとか。
シャンプーが面倒なだけじゃないのかと予想するも、違うと一蹴されて終わるんだよな。
あやしい。
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