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今朝のことだった。
慌てて家を出ようとしたところでスマホが鳴った。
スマホを見ると母さんからで、何か変だとは思った。
今日は会議があると言っていたし、俺が学校だってことも知っているはず。こんな時間にかけてくるなんて、ありえない。
スマホを耳に当てた途端に母さんは喋り出し、慌てすぎて何を言っているのかわからない。だから、落ち着けと言いながらも、胸騒ぎがした。
咲良の母親から聞いたと前置きして、俺に伝えた言葉は今でも耳にしつこく残っている。
――――咲良が事故に遭った。
だから学校には行かずに病院に走った。
この時はまだ、そこまで心配していなかった。
うっかり足を引っかけたとか、運悪くマナーの悪いドライバーに当てられたとか、最悪なら骨折くらいはしてるかもしれないとか、そんなことばかり。
俺の頭の中では咲良を元気づける言葉が回っていた。
せっかくの夏休みに遊べないなんて、運が悪すぎるだろうと楽観的な考えしかなかった。
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