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『もしかして、好きな人の話なんでしょー!』
脳裏に蘇る咲良の言葉。
まさか、なんて思いたい。あり得ないだろうって笑い飛ばしたい。でも、裕介はきっと本気だ。
「よかった、誰もいない」
教室前。祐介が言って中に入っていく。
続けて俺は入ろうと一歩を踏み出して、固まってしまった。なぜか緊張して動けない。
面接かよ! なんて心でつっこんでみるも、滑稽だ。
「どうしたの?」
祐介に不審がられる。
首を傾げる裕介の向こう。窓の外は雨が降っている。薄暗い教室。
全ての席が空いているというのに、律儀に自分の席に座った裕介。俺はその隣に座る。
「それで?」
一向に話そうとしない裕介を促す。
話があると言っておいて、照れながら悩まれても困る。俺だって緊張するし、ささっと言って欲しい。
俺は鞄に入っていたミネラルウォーターのペットボトルを取り出す。さすがにもう温くなっていた。
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