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「なるほどなぁ、それで人間とルームシェアして理解を深めましょう。ってわけか」
「その通りです」
「逆に極端に人が死んだ時はどーするんだ?」
「ああ、その時は私達ではなく、天使課の仕事ですね。私達と逆で生を増やす役割を担います」
天使課もあるのか。本当に奇妙な世界観だ。
「最近は世界人口は増加の傾向にありますから、天使課は暇なんですよ。私達の方が近年は忙しいですね、特に9月は繁忙期ですよ」
彼らの忙しい時期は、つまり生の数がふえる月だ。僕は頭の中で逆算する。
「クリスマスか」
「そゆことです。あとベビーブームとかも本当に勘弁してもらいたいです」
なんだか、少し不憫に思えてきた。
「古代からこの役割ってことは、逆にペストが流行した年代は、天使課が大忙しだったんじゃないか?」
「はい、もう休日出勤に残業で、あの時期だけは天使課めちゃくちゃブラックでしたからねぇ。過労に耐え兼ねた天使が次々と堕天してくれたおかげで、こっちは人員増えて助かりましたけど」
「そんなんで大丈夫なのかよ」
「まあ、死神でも死亡執行適正アリで報告したのに、その人の魂が現世に残留すると減俸ですけどね。道真公の担当さんとかめちゃくちゃ怒られてました」
「あー、あの人の呪い凄かったもんなぁ。現世に未練タラタラだったわけか」
天界こぼれ話は、日が暮れるまで続いた。
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