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0日目:風と共に去りぬ我が舎
「寮が、半壊...!?」
春も過ぎ、日差しが強くなってきた今日この頃。僕は携帯を耳に当てたまま放課後の学校でフリーズしていた。
「...しもし?...もしもし聞いてます?」
「あ、はいすいません...。え、でもそれって僕、どうすれば」
「ですから、先程申し上げた通り、寮の工事が終わるまでは立ち入り禁止になるので利用できないんです」
「はぁ...」
「そのため、改修工事の期間は、本校まで御実家の方から通学していただくか...」
「そそれは困ります!!」
僕は事務の職員さんの話を遮る。高校進学を機に、やっと地元から離れられたんだ。実家に戻るわけにはいかない。
「も、もしそうでしたら近くに賃貸を探してみてはいかがでしょう?」
電話越しに職員さんが気圧されてるのが分かる。すいません大きな声出して。
「賃貸...ですか?」
「はい、寮が使えない期間分の賃金は返還させて頂きますし、工事が終われば寮に戻れますので」
賃貸が見つからなければ、寮があるという理由だけで、ここに受かるために猛勉強した今までの努力が、全部水の泡になってしまう。
「わかりました!探してみます!!」
僕は電話を切る。
地元に戻るわけにはいかない。中学時代の二の舞は死んでも嫌だ。
なんとしてでも住む場所を見つけなければ。
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