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そしていつのまにか終業を告げるチャイムが鳴る。
思考している時間は本当にあっという間だ。
「初日から遅刻とは流石だな、燐太郎」
ふと、声を掛けられた。そちらを見ると見知った顔。
少しきつい目、更に頑なそうな黒縁眼鏡。
きゅっと結ばれた口元は、今は少し緩んでいる。
そんな彼。
林……林俊太君じゃないか!!
あ行の人の多さに驚いていたせいで見落としていたが、俺はめんどくさいこの学校で、このクラスで、校内一の親友を発見した。
この喜びといったらない。
なんならキャッホイと叫んでみてもいい。
しかしそんな感情さえも押し殺し、俺はいつも通りのやり取りになるように声をつくった。
いや、だってほら……恥ずかしいからね。
「ははは……休み気分が抜けなくて…俊太君と同じクラスだったのか。よかったよかった」
頭をポリポリ掻きながら、そう言った。
俊太君はキリッとした姿勢で眼鏡を中指で押し上げて、
「ホント、僕も君と一緒で良かったよ。またぼっちからスタートはきついからな。帰宅部のコミュ力をなめてもらっちゃ困るよまったく」
そして、深い安堵の溜め息を吐いた。
俺もつられて息を吐く。
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