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いつものように静かな、誰もいない部屋で目を覚ます。淋しさを紛らわすために置いた人形が、今日も私に挨拶替わりの視線をくれる。
身支度を終え、階段をタッタッタッと駆け下りる。
分かっている事だか1階も静かだ。
少し腐乱臭のするリビングで軽食を取る。臭いなんぞ気にしない。だって、いつもの事だから。
歯を磨いていた時、鏡に映るいつぶりかに出してきた制服のブレザーに少し赤い痕が付いているのに気づいた。何か聞かれても嫌だと思い置いていく事にした。この時期にブレザーを着ていくのも可笑しいしね。
リビングに戻り置いておいたバックを担いだ。
「行ってくるね。父さん、母さん。」
冷房を全開にしてあげてから、二人をじっと見る。天井から縄を引っさげて、今日も首でブランコしてる。でも、本当は。私がブランコさせてあげた。
玄関のドアに手をかけて今日も学校へ旅に出た。今は真夏。
「そろそろ、冷凍しないとな。」
学校に着くと、友人達もおはよう等の挨拶を交わす。スキンシップが激しすぎるが良い友達だ。
私が××だと知ったら、彼らは血相を変えて逃げていくんだろうな。
そういえば1人、肥料にしたクラスメイトがいたっけ。友達もいないから誰にも気にされず、行方不明扱いだっけ?
今は学校の近くで、春には綺麗な花を咲かす桜の肥料になれているのだから、ようやく彼女も何かの役に立てたんじゃないかな。まぁ、どうでもいいや。
2限は科学か。実験室に移動しながらまた思い出す。
教師もいたな。実験に熱心で、生徒がこの実験に興味があると言えば道具を用意して教えてくれてたっけ。だから、私はそれに漬け込んで、塩酸にどれ位浸かってれば溶けるか知りたいって言っていて協力して貰ったな。今も苦痛を伴いながら生きながらえてるの尊敬してる。
何でだろう。人が死んだのに、殺したのに。痛みや罪悪感がまるで無い。不思議だな。何でだろう。何で。何で。何で。
知りたくて、知りたくて。人を殺したのに、罪悪感が無い。感じない。むしろ、快感。嬉しさまで込み上げてきた。いつの間にか、町は静けさと赤い道路。と、月明かりに照らされてより一層光る鋏を持った、私だけが残る。
私は…静。人殺し。
快楽主義の(epicurean)殺人者
(homicide)
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