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「二学期から仲間になるはずの転校生が欠席だ! 夏休みは終わったんだぞ! 皆もしっかりしろ! ホームルーム終わり!!」
高校一年、二学期の始業式。
相変わらず熱血なクラス担任の雄叫びをよそに、生徒達は夏休みの絞り雫のような午後を有意義に過ごすため足早に教室から消えた。
カラッと爽やかな風、眩しい青空。
受験勉強という呪縛から解き放たれた最初の夏。
それはそれは楽しい一ヶ月だったに違いない。
しかし、空っぽになった教室に一人佇む健吾にとっては、只々どんよりと暑苦しいだけの日々だった。
健吾は担任の雄叫びは勿論、何もかも上の空で幼馴染の紗耶香のことを考えている。
朝からずっと、いや、夏休みからずっと。
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