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夏休み半ば、健吾は失恋したのだ。
幼馴染でずっと好きだった紗耶香に恋愛の相談を受けてしまったのである。
急に呼び出されウキウキ、イソイソと出かけて行き貰った言葉がこれだった。
『健ちゃん、野山先輩と仲良しでしょ? 先輩私のことどう思ってるかな?』
「うおおおぉぉぉぉ!」
誰もいない教室に悲痛な唸り声が響く。
『そりゃ野山先輩はカッコ良いよ! 俺だって大好きだよ! 平々凡々な俺なんかより野山先輩を好きになるに決まってるよな!』
相談を受けて以来、紗耶香のはにかんだ可愛すぎる笑顔を思い出しては悶絶する毎日。
机に突っ伏し、どこまでも澄み渡る青空を恨めしく見つめ健吾は呟く。
「幼馴染は結ばれるのがセオリーの筈なんだけどな……」
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