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第四話 野外活動も忘れずに:前編
9月2日地曜日。 私は、起きて支度をした後すぐにルノコのいる2人部屋を確認しに行った。少し透けた窓つきの扉から確認すると、ルノコはぐっすりと寝ていた。相部屋の子はどうやら、既に支度を整えているようだった。
「おはようございます」
そっと扉を開けて、完全に目が覚めている相部屋の子に挨拶をした。
「……ルノコちゃんなら寝てますけど」
あまり愛想のないこの子は、クエスト管理所に勤めている子だ。管理所長ガネーのハンコの押された、『異変整理初心者マニュアル』を手に持っている。
「起こしますか?リディ先輩」
「いえ、出来れば自分で起きてもらいたいので…。ですが、どうやらこの様子だと起きなさそうですね」
仕方なく、ガネーの後輩のこの子に起こしてもらった。
「ふぁっ、ふぁい!たった今起きましたでしゅ!!」
「今日はフレンダさんに受付業務をやってもらう事になっていますので、準備が出来たら食堂の私の目の前の席に来て下さい。空けておきますよ」
「フレンダセンパイの早業も見てみたかったでしゅ」
とりあえず先に食堂に向かった。朝は各部署の業務スタート時間が比較的バラバラなので、時間制限なく自由に食べていい決まりだ。場合によっては空いている時もある。そして、ルノコがばたばたと慌てて目の前の席にやってきた。
「走ったので減点ですよ」
「つい、でしゅ」
「フィールドワークで異変を見つけたら、加点される事もあるので 頑張って探索していきましょうね、ルノコさん」
「はいでしゅ!…ところで、昨日から異変って言っているそれは具体的に何なんでしゅか?」
「主にモンスター出現の事を指しますが、冒険者の皆さんに調査を依頼する現象をまとめて異変と呼んでいます」
「なるほどでしゅ、あ、そうだ朝ご飯はパンにしましゅ!」
パンを小動物のように はむはむと食べながら、ムーギードリンクを飲んでいるルノコ。
「ムーギーが好きなんですね、ルノコさんは」
「大好きでしゅ!」
ムーギーとは具体的に言うと、主食に使われる原料だ。ドリンクに含まれている事もあるが、味はどちらかというとお茶寄りになる。ルノコはムーギー酒が大好物のようだ。
「さて、食べ終わったら向かいますよ、ヒロービロ平原に」
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