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契約が上手く進んだ事を祝福するように、炎を噴き上げるサラマンダさん。
いつも天井が黒いのは、このためか…
ミーミも一緒に喜び、巨竜の周りで、軽いステップを踏んで踊っていく。
さすが、王族。こんな赤黒い汚れがべとつき、拷問道具みたいな器具が溢れかえってる、
人間からすれば処刑場ばりの掃きだめでも、彼女の踊りには“華”がある。
そんな光景に和んだ瞬間、サラマンダさんが足元のぬめりに滑って、転び…
「ひんっ」
という、か細いひと鳴きを上げ、ミーミが下敷きになる。
「え、衛生魔女ぉぉ!」
俺の悲鳴で城内の“救護担当魔女”が、すぐさま登場し、イイ感じに薄っぺらくなっている彼女を抱えて運んでいく。狼狽MAXで後を追う俺の後ろを、
「それでも護衛かよ?」
的に、ちゃっかり逃げたオボロが追従し、呪いの言葉みたいな、低いうなり声を
聞かせてくる。
「不味い事してくれましたね~?ゴブ軍曹~、これで姫様がどうにかなってしまったら、
人間と魔物の戦争再来の予感ですよ~」
「その姫様を守るアンタが、何で助けてないんだよ。そっちの責任問題も若干あるだろ?」
「知れた事。私は姫様がドラゴンと戯れてる事をスマホで撮った画像をフォトショで
コラ改造をするつもりで忙しかったんです。勿論、エロくね!」
「フォトショ?コラ改造ってああもう何だ?ゴブリンだけか?時代に取り残されてるの
はぁっ!?訳わかめだぞ!とにかく、姫さんの手当を急げぃ!」
治療室というより、牢獄の入口みたいな、暗く湿った木製ドアをぶち開ける!
大小様々な壺に、色怪しげな液体が鍋でグツグツ、怪しい匂い充満の部屋が、
広がる室内、その中央のベッドにミーミが横たえられていた。目を閉じているが
“たわわな胸”が上下する様子は生きている証拠だ。ん?たわわ?…首を傾げる。
先程までは薄っぺらな彼女も、元の肉感溢れる体を存分に見せ、見せつけ…て、
てか全裸ぁぁぁっ!?今、気づいた自分~!!
周りには魔女と魔物が囲んで、姫の体に手を伸ばしたり、
引っ込めたりしている。さらによくよく目をこらせば、何人かは華奢で可憐な手を
ペロペロ!…
不味い、絵面的に“これから食われるお姫様”だ。慌てて突撃!化け物共を全員蹴散らし、
怒声を上げた。
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