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「ちょっと、オボロさん、ちょっとぉ~(半分悲鳴に近い声で鳴くミーミ)」
「よし、二人離れて。ちょっと離れよう。」
女性モンスターのラミアンを真ん中に入らせ、とりあえず二人を引き離す。
ガルルと獣みたいに歯ぎしりするオボロは、部下の魔物達より怖い。
(すごいよ!!この護衛。喋ったと思ったら、いきなり弓の雨みたいなトークで
とんでもない欲望暴露しやがったよ。)
思わず姫を傍に引き寄せ、いきり立つ護衛を尻目に囁く。ミーミが
「キャッ、鬼畜彼氏系ジャンルですか(男子じゃねぇ、雄だ!と心でツッコむ)」
とか何とか呟くが、気にしない。
「あの、姫さん…貴方の護衛ですが、採用に当たって王様とか、疑問点は
なかったんですか?何かヤバゲな感じがすごいじゃないすか?」
「ええっ~、でも、子供の頃から一緒ですし、食事も、買い物も入浴も、寝るのも、
トイレもピッタリ背後にいますから~。護衛ってそういうものでしょ~?」
「・・・・」
どうやら…この姫さんは生まれた時から色々“勘違い”をしながら、生きてきたようだ。
俺はため息一つ、とりあえず姫と“ちょっとヤバそうな護衛”を城の内部に案内した…
「フムフム、これは美味しいですぞ。ミーミ姫!魔王城のコックを
一応は名乗らせてもらってますが、我らが食卓に新旋風を起こせますわい。ありがとう。
ありがとうです!!ガハハハーーッ!!」
料理長のサラマンダさん(全長6メートルくらい)が華奢な彼女を抱きかかえ、
厨房で笑い声を上げる。周りのドラゴン専用に用意された調理道具を見ると、
食材をミーミ(人間)と勘違いした部下の気持ちが、わからん訳でもない。
城内を案内する前に、とりあえず厨房に向かった俺達は、先程と同じようにオ・ボ・ロが
用意した料理を、実際に食べてもらっていた。
「あ、ありがとうございます。オボロも喜んでます。後は材料等の配達ですね。」
「ご安心ですわい!オイッ、ゴブ軍曹!」
「ハイハイ、ファーブニ大臣に財宝の管理を聞いて、相応の報酬を用意し、運搬は、
そちらさんが嫌じゃなければ、ドレイクなり、ゴブリン輸送隊なりを手配しますよ。」
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