今よりちょっと昔の違う世界のお話

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__________________ 椅子に座ったままウトウトしていたらしい。 目を覚ますと甘い匂いがして、ふと外を見た。 花だ。 まだ寝ぼけているのかと思った。 こんな夢はごめんだ。思いきり目をこする。 いや、これは夢じゃない。 庭一面に花が咲いている。 彼女が死んでから10年経つというのに。 私は庭へ飛び出した。 彼女がひときわ大切にしていた、ポピーの花壇。 たくさんの色の花が咲いているが、 一輪だけの白いポピーが目を引いた。 花言葉は「眠り」。私はハッとした。 根元に何か埋まっている。 堀出してみると、小さなメッセージカードだ。 土を払って涙が溢れた。 次から次へと出てきて止まらない。 とめどなく出てくる涙で字が見えない。 拭いながらなんとか読み終え、 私は叫んだ。 自分が聞いたことないような声で。 ひとしきり泣き叫んだ。
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