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ほどなくして、アヤカシたちもぞろぞろと起き始めた。がたいのよい鬼たちが、狐さんをゆさゆさと揺らしている。
私もモラクスさんを起こすべきだろう。
「モラクスさん、モラクスさん。起きてください」
「……ん……」
眠たそうに目を細めながら、しかし案外簡単に起きた。もっとねばられるかと思った。というよりは少しねばられることを期待した。ちぇっ。
ヘラさんに抱かれて眠っていた女の子たちが、むくりと起きてはあくびをしている。
「んー、あー、よく寝たなァ。お前さんら、このリズム覚えておけよ。夏はこの感じで夜中に活動だ」
狐さんの声に、あちこちで返事の声がする。
そういえば夏は忙しいだとかなんとか言っていたっけ。……夜中に活動て、もしかして、心霊現象の類いを起こすという意味合いだろうか。もしかして。
「お? なんだ、リュウコは『ほらー』ってやつはダメか? へんなやつだなあ、こんなにお前の周りにその象徴がいるのに」
……言われてみれば。確かに。確かにだ。
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