レッドキドニーはスパイスと一緒に

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レッドキドニーはスパイスと一緒に

「ちょっと!柚希!また来たの?自分の事務所で仕事しなさいよ」 朝からいつも通り、凝りもせず訪れた柚希に友梨佳は声を荒げた。 「いいだろ?特に忙しくもないんだし」 「そんなことないわよ!ランチタイムは忙しいのよ」 友梨佳の言葉など聞こえないと言った様子で、いつも通りカウンターに座ると柚希はパソコンを開く。 そんな柚希を見て、またいつも通り友梨佳も窘めるのを諦めた。 都心から少し離れた場所にある、豆カフェ「ビーンズカフェ」その名の通り豆料理とお茶を出す小さな店だ。 緑に囲まれた、白いコンクリートの壁の四角い箱の様な外観に、小さく出された「ビーンズカフェ」と書かれた看板だけが、唯一ここが店であることを控えめに主張していた。
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