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「ハハッ。そうやって照れて困ってるおまえ見るのも、可愛くって好き」
そんなことを無邪気に言える方がかわいいよ。
そう言いたいけど、もう照れまくってしまってダメだった。
そして、口から飛び出すのは可愛くない言葉。
「……悠真ってサディストだよね」
「ハハハッ。なんとでも言えよ。何言っても可愛いとしか思えねえし」
変わらない笑顔でケラケラと笑われた。
ダメだ。完敗。
だけど、こんな可愛くない私でも可愛いと言ってくれるなんて、きっとどこの世界を探しても悠真だけだよね。
「明日はさ、俺たちはどんな関係の世界にいるんだろうな」
コーヒーをブラックのまま口へ運びながら、悠真が私を見た。
「明日は日曜日だから、学校が違っても問題は無いね」
「そうだな。待ち合わせ決めてデートしようぜ」
デート!? またそういう照れるキーワードを使うんだから!
私が答えずに甘いコーヒーをすすると、悠真が私の頬をつついた。
「ただ待ち合わせじゃ無くて、本当のデートしたいんだ。どっか遊びに行こうよ」
「……うん。いいよ」
こんな毎日違う世界を渡り歩いていても、悠真は不安どころか楽しもうとしているのかもしれない。
若しくは、私を楽しませようとしているのかな……?
どちらにしても、そんな悠真で良かったな、と心底思った。
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