2・日曜日 ~風ノ街学園の初等科~

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 日曜日の空いた電車の中に乗り込むと、座っていた男の子が立ち上がった。 「昨日のお兄ちゃんとお姉ちゃん!」  昨日、悠真のマンションの下で会った大輝だ。  だけど、ここは恐らく昨日とは違う世界なのに……。  大輝も黒い渦巻きから出て来たらしいから、竹中先輩のように同じように毎日移動しているのだろうか? 「大輝? 1人で何してんだ?」 「丁度良かった。ボクね、学校へ行くところなんだ。風ノ街学園に行きたいんだ。一緒に行ってよ」 「へっ?」  悠真がきょとんとした顔になって私の顔を振り向いた。   「どうして学校へ行くの? 何か忘れ物?」 「……確かめたいんだよ。本当に初等科が無いのか」  泣きそうな表情になった大輝を見て、私は胸が痛くなった。  この世界にも初等科は無いのだろう。  だけど、きっと大輝は元々は初等科がある世界にいて、その学校が無いと言われて信じられずにいるのだろう……。 「一緒に行くのはいいけど。今日は休みだし、初等科は存在しないぞ」  悠真がそう言い放つと「それでも行きたい」と大輝は言った。 「ボク、あの学校には大切な友達がいるんだ」  その力強い目つきに何も言えなくなり、私たちは動物園はやめて大輝に付き合うことにした。
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