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今日、一体何があったのか。
思い出せる事はただ、無機質なコンクリートの部屋に閉じ込められていたということだけ。
手足には鉄製の枷がはめられて、猿ぐつわまでされていた。
つまり、監禁されていたのだ。
だが、それもこの日で終わりだ。
いつもニヤニヤ笑いを浮かべる男の頭に、手枷を思いっきり叩きつけて。
俺たちは解放された。
傍らでは、女性が身体を震わせておびえていた。
口元に手を当てて、女性は叫ぶのをこらえているようだ。
女性の目つきは、まるで犯人が俺であるとでも言いたそうであった。
――俺の両手は、赤々と濡れた――
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