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月末。
納期が渋滞するこの時期 身に染みるのは
『人の本質的な優しさ』である。
小さな親切こそ、大きな糧となるのだ。
「本当にすみません。これ急ぎでお願いします」
至極申し訳なさそうな表情をした彼から受け取った資料。
納期から逆算して仕事をして欲しい…なんて口には出さないけど。
「本当遅くなってすみません。明日チョコ買ってきますんで」
99%いい加減でも、01%の優しさがあれば
人は惹かれ許してしまうものだ。
「苺チョコで手を打ちましょう」
困った様に笑う彼。
一瞬でも、彼の中に私がいる事が嬉しい。
例えそれが餌付けと分かっていても…。
好きになっちゃいけない。自分自身に、懸命に言い聞かす。
好きじゃない、好きにならない、好きじゃない、なっちゃいけない。
頭では分かっているのに、彼の後姿。
触れたくなる、恋心。
話す理由を探す。
例えそれがこじ付けであっても。
「来週の打ち合わせって何曜日ですか?」
「明日は雨みたいですね」
「襟、折れちゃってますよ」
探す、探す、探す。
直接触れる事は出来ないから、
せめて心の琴線に触れたい。
ずるい私は嫌な女。
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