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ラフィが言ってすぐ部屋を出ていき、しばらくして透明で虹色に光る彩石を持ってきた。
「これが透虹石。俺たちは体のなかに何もないのが普通の状態だから、使わないときは力は透虹石のなかに入れておくんだ。心の思うままに力は移動するから、修練が終わって自分の体に力が残ってたら、吸いこめ、とか、命じるんだ」
ユクトは頷いて理解を示した。
理解しながら、この力はなんの役に立つのだろうかと考えた。
「君はこの力を何に使うんだ?」
「俺は騎士になるんだ!ついでに選別師にもなるんだ!俺たちは4種の力を読めるから、役に立つぜ!」
「騎士で選別師になれるのか?」
「選別師試験に合格すればいいだけだから、試験訓練さえすれば、選別師にはなれるぞ」
「技能学校に通わなくてもいいのか」
「選別師の場合はな。でも結構訓練したぞ。力量を当てるのが難しいんだ」
「取りたいな、選別師資格」
「とればいいじゃん!宿泊施設もあるから泊まれるぞ」
「そうだ、施設に泊まってる間に選別師資格取りたいって言えばいい。その間身の振り方を考えたいってな」
ティルの言葉に、ラフィが首を傾げた。
「身の振り方?なんの話?」
ティルは答えた。
「彼、オルレアノから来たんだ。こっちに来てから採石師してたらしいけど、ラフィと同じ年だから、未成年者保護施設で、身の振り方を考えてるとこ」
「へえ。オルレアノって大陸東の国だっけ。なんでアルシュファイドに来たんだ?」
「採石するだけで生活できるって聞いたからなんだ」
「ふうん。ほかにも職業はあるぜ?まだ俺と同じ年なら、焦って決めなくてもいいんじゃないか?俺は騎士になるって決めたけどな!」
ラフィは胸を張った。
「騎士になってどうするんだ?」
「困ってる人を助けるんだ!でも一番は、この国に貢献したいかな!国を動かす人たちの、助けになりたい」
「国を動かす人の助け…」
「うん!そんな風に思った!でもユクトは、自分の生活を楽しんだらいいんじゃないか?大抵のアルシュファイド国民はそうだぜ」
「生活を、楽しむ…?」
「うん。俺だって色々楽しんでるけどな!まあ、騎士になるにはやること多くて忙しいけど!」
「騎士って、剣を振るうんだよな…」
ラフィは表情を改めた。
「守るときは、そうする。決めたんだ。でも、ほかのみんなは、騎士になるとき、剣を受け取るとき、決めるみたいだ」
「剣を受け取る…」
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