9人が本棚に入れています
本棚に追加
ティルが言った。
「15歳で剣を受け取って、見習いになるんだ。そこで初めて、剣を持つことがどういうことか知る。その時点で士官学校をやめて技能学校に移るやつらもいるよ。そいつらはさ、剣に頼らずに守ることとか、人の命の重みとかさ、色々考えて決めるんだよな」
「そんな選択肢もあるんだ」
「ああ。騎士になるのも、剣の腕があって、一定の教育を受けて騎士の誓いを立てればいいだけだから、15歳過ぎてから士官学校に入る者もいるぞ」
ティルは続けた。
「だから、最初からこれ1本って決めずに、やりながら考えればいいんじゃないかな。取り敢えず、選別師訓練受けるか?」
ユクトは考えた。
まだ採石師になる気持ちが大きかった。
そしてそれには、選別師資格は役に立ちそうだった。
「うん。俺、選別師になりたい」
「じゃあ、まずは修練しようぜ!選別師になるにはすごく役に立つんだ!それから選別師訓練見せてやる」
ラフィがそう言って、16時まで修練をすると、2階に上がって選別師訓練を眺め、少し試した。
「こうやって並べていくんだ。力量読むのは、まあ、慣れだな。4種持ちだから属性は全部判るし、完全体と不完全体は修練やったら判るだろう」
彩石選別師は、土、風、水、火の属性と、サイジャク、サイゴク、サイセキの働きと、力量と、完全体と不完全体の区別を付ける。
ユクトは言われた通りしてみて、確かに力量を覚えるのは大変だと思った。
17時になって、ティルが言った。
「今日のところはここまでにしよう。施設長が心配するから、帰らないと」
一同は片付けをして、ユクトは施設に送ってもらった。
施設長が言った。
「お帰りなさい。色々見られた?」
ティルが答えた。
「あっ、俺たち、火の宮行ってて、レグノリアの街は見せてないんです。明日は見に行こうな。ところで施設長、ユクトが彩石選別師資格を取りたいそうなんです。それまでここに置いてもらえませんか」
「ミランダって呼んで。ミランダ・グロリアよ。ええ、養い親に慣れるのにも、そのくらいの期間があった方がいいかもしれないわね。ところで、夕食は18時半ばから20時までよ。汗を流して食堂にいらっしゃい。食堂は1階のそちらよ」
こうして、ユクトは新たな滞在場所を手に入れた。
最初のコメントを投稿しよう!