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荷物を置くと、レグノリアの伉儷3組と話して、それぞれと過ごす約束をした。
昼食を摂ると火の宮に行って、選別訓練中の採石師とともに訓練する。
翌日も朝から採石師と過ごし、打ち解けた。
週末になるとユーカリノ区の若い伉儷が迎えに来て、レグノリア観光ののち、自宅に連れていってくれた。
ユクトの部屋はしっかりと調えられており、迎える準備は万全と見えた。
食卓は置き場がなくなるほど料理を載せられて、ユクトはありがたかった。
翌日は3人で遊びに出掛け、ユクトは久し振りに笑った。
施設に戻って、とても選べないと思ったが、ミランダは言った。
「それでも選ぶのはひと組。別れて、また会ったときのことを考えてみて。そこはあなたの帰る場所?あなたが苦しんでいるとき、そのひとたちにはどうしてほしい?」
ユクトは考えてみた。
彩石選別師試験を終えて、採石師とは仲間意識が芽生えた。
50代の伉儷は、やさしいだけでなく生きる力を付けてくれた。
若い伉儷には尽くしてもらった。
レグノリア区の3組の伉儷たちとは、打ち解けきれなかった。
同時に、ユクトはひと月考えて、採石師をしているだけでは物足りなくなった。
延々採石師をしているだけでなく、もっとほかの可能性に触れたくなった。
そして、誰よりも、ラフィとティルとジェンと、離れ難かった。
ユクトはミランダに言った。
「俺、レグノリアの王立技能学校に通いたいです」
「そう。皆さんに伝えてほしいことがある?」
「レグノリアのひとたちには、親切にしてくださってありがとうございますと伝えてください。ユーカリノのひとたちには、自分から伝えたい」
そうして、酒守と採石師の伉儷には、採石で一緒になるかもしれない、そのときは茶でも、そのうち酒でも飲みたい、と話した。
「あなたたちとは、友だちとして接していきたい」
2人はこの言葉を受け、別れの挨拶をした。
50代の伉儷には、とても和んだと言った。
「もし許されるなら、また泊まりに行きたいです。帰りたい場所に一番近かった」
彼らは言った。
「いつでもおいで。君を息子と思って待っているよ。もう養い親として登録するのはやめようと思う。私たちは君という息子を得たと思っているから」
ユクトはありがたくこれを受け、再び泊まりに行くことを約束した。
そして若い伉儷にはこう言った。
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