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翌朝、早く起きたラフィとティルとジェンは、庭を借りて鍛練し、ユクトはそれを見て、ラフィは本当に騎士になるのだと、ティルとジェンは騎士なんだと思った。
鍛練が終わると、机いっぱいの朝食を6人で囲んで、楽しんで食べた。
それからミットは馬車を借りてきて、全員で少し遠い彩石発動館へ向かった。
彩石発動館では、サイセキを発動させて、その効果を知るのだ。
土、風、水、火、複合サイセキと館が分かれていて、一行はひとつひとつ順に見て回った。
大地を揺るがす派手な働きのものもあれば、そよ風のようなささやかな働きもあり、だがどれも初めて見るもので、一同は感心の声をあげながら見ていた。
土、風、水、と見たところで昼になり、一行は3階の食堂で定食をいただいた。
そのあと、火と複合サイセキを見て、満足した一行は、帰路に就いた。
「思った以上に楽しめた!なあ、明日は彩石探し、選別場にも行ってみないか!?名のあるサイセキを常備してみたい!」
ジェンの言葉に、ティルは自分の顎を触った。
「うーん、悪くないかもな。術語の必要がないから。でも間違わないかな」
「数を限ればいいんじゃね?どれかひとつに絞って持っとけばいい」
「どれかひとつか…渦石類とか?」
「おう!渦を巻くやつだな!」
ユクトが口を挟んだ。
「波緑石(はりょくせき)はどう?術語を用いなくても声が返るんだ。届けたい言葉、相手の名を発すると、相手に音が伝わり、返事が戻ってくる」
「お、それいいな!」
「音石類(おんせきるい)なんかどうだろう。どの属性でも音を届けられる。石を運ぶ必要があるけど」
「よく知ってるな!」
「調べたんだ。彩石選別師になれたから」
努力の甲斐あって、試験に合格したのだ。
「俺も調べよーっと」
ラフィがこっそり言った。
ユクト以前に試験に合格していたのだ。
「でもやっぱり、役に立つのは灯石類(とうせきるい)じゃないかな。どの属性でも光が作れるんだから」
ティルが頷いた。
「そうだな。夜間の警邏で、街灯の明かりはあるけど、やっぱ相手の表情とかはっきり見えた方が、安心させるし、怪我なんかの確認もできる」
「じゃあ、選別場では灯石類探すってことでいいか」
「そうしよう!」
そのように明日の予定が決まり、この日も彩石湯に浸かって、いい気持ちで眠りに就いた。
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