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ジェンが言った。
「火の宮?」
「レグノリアには表神殿というところがあるんだけど、そのなかの施設のひとつなんだ。君と同じ能力のやつがいるから、会わないか?」
ティルの言葉に、ユクトは首を傾げた。
「俺と同じ能力…?俺にどんな能力があるんですか?」
「4種の異能を操る能力。ただし、君自身のなかには何もないんだ。使い方も教えるから、一緒に行こう」
ユクトは首を傾げながらも頷き、3人は格子状の大通りを北へと向かい、表神殿のなかに入った。
表神殿には、中央に尖塔があり、四つ角に四角い建物がある。
そのうちのひとつである右手手前の建物に入ると、ティルとジェンは一室に入った。
そこには子供が多数いて、ティルとジェンは彩石を2種類用意した。
「まずサイセキから火の力を取り込むんだ。できるかな、俺たち、取り込むのは判んないんだ」
ジェンが言って、ティルが誘うように言った。
「取り敢えずサイセキを手にとって…来い、と念じてみるんだ」
すると、サイセキが消失して、ユクトは今まで感じたことのない火の力を感じた。
「すげえ、成功した!」
ジェンが喜んで言い、ユクトは戸惑った。
「こ、これをどうすれば…」
ティルは急いで言った。
「ここにサイジャクがあるから、サイジャクのなかに火を点けるところを想像するんだ。ひとつひとつ、均等に、自分の律動に合わせて」
ユクトは言われた通り、並べられたサイジャクに火を付けるところを想像した。
するとサイジャクは順に消えていった。
ジェンがまた、すげえ!と言った。
「一発でできてる!」
サイジャクが消えなくなると、ユクトは自分のなかの火の力が消えたのを感じた。
「火の力がなくなったみたいです」
「もう一度やろう。サイセキから火の力を取り込んで…」
それを続けていると、1人の少年が…ユクトと同じ年頃の少年が現れた。
驚いたのは、ユクトと同じ、一見銀に見える虹色の髪と目をしていたことだ。
「誰?俺、ラフトフル・シア・スーン。ラフィって呼んで」
「俺はユクト・レノンツェ」
「何してるんだ?」
ラフィがユクトたちと同じく床に座りながら聞くと、ティルが言った。
「修練の仕方を教えてるとこ。ラフィ、何か気を付けることない?」
「ある。透虹石待ってないか?俺たちにはそれが護身用なんだ」
「とうこうせきって知らない」
「俺、ファラ様に透虹石があるか聞いてくる!」
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