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今は昔のこと。竹取の翁という者がいたそうよ。
野山に分け入って竹を取っては、さまざまなことに使っていたの。
ある日、私はとてもとても小さな女の子になって、翁の竹藪の中にある、一本の竹の中に座っていた。
どうしてここにいるのか、自分が誰でここがどこなのか。
何一つわからなかったけれど、早く翁に見つけてもらいたくて、一生懸命光って見せた。
私の体から出る光は、私が入っている竹の根元を光らせて、ついに翁の目に留まった。
翁はおそるおそる近づいて来ると、筒の中が光っているのに気付いて、中を覗き込む。
そしてそこにいた、たった三寸ぐらいの、小さな私の姿を見つけたの。
そう、これが私と翁との出会いだった。
優しい翁は
「私が毎日見る竹の中にいらっしゃるのだから、私の子になる運命なのだろう」
と言って、私を自分の家に連れて帰り、妻の媼と一緒に、私を育ててくれたの。
とても小さかったので、籠に入れて、可愛い可愛いと言ってそれは大切にしてくれた。
それからも変わらず翁は竹を取っていたんだけど、私を見つけてからというもの、取った竹の節ごとに黄金が入っていることが重なり、翁は次第にお金持ちになっていったの。
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