《傷だらけの歯車》

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 ヘリと同じ大きさのそれはまるで人型のロボットだ。月光と呼ばれるその機体。この世界において重要な戦闘兵器であるワイルドギアは彼の感覚器官として稼働を始めた。 『ご武運を、サザナミ』 「ああ、必ず戻る。待っていてくれ、アーダ」  直後、月光はヘリとの接続部をパージし、自由落下を開始する。 「サザナミ・ウエノ。出るぞ」  地面すれすれまで落下し続け、大地にぶつかる瞬間に一気にブースターを噴かせる。そして亜音速の域にまで達し、肉体にかかる負荷を歯を食いしばることで耐える。その間に目標の基地を目視で確認した。  片腕に装備しているビームライフルを構える。その直後、向こうの方で警報が鳴り響き、基地の防衛隊が出撃してくるのを確認したのちに、ショルダーパックのミサイルを発射し、先行させる形で基地を襲撃させた。一瞬だが防衛隊に混乱が見られ、その混乱の隙に基地の敷地に侵入する。ブレーキ代わりに防衛隊の兵器を踏み潰す。   そして出撃する直前の兵器が鎮座する格納庫に腕に仕込まれている二百ミリ砲をマシンガンのように撃ちこんだ。機体に装備されている武器を誘爆させ、その兵器類は全滅させる。 「弾薬庫はどこだ」 『三時の方向よ。その前に敵を排除してて下さい』 「わかってる」  ビームライフルを乱射して生き残っている兵力の殲滅を開始する。     
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