《傷だらけの歯車》

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 そして、その予感は最悪の形となって、彼の目の前に現れることとなった。  月光のいる場所が急に暗くなる。サザナミがハッとして空を見上げると、そこには急速に落下してくる巨大建造物のような何かがいた。 「ちぃぃっ!」  ブースターを噴かせ、その場から全力で後退する月光。最後に地面を無理やり蹴って、押しつぶされるのを回避した。  圧倒的暴風で砂塵舞う中、その巨体が何であるかをサザナミは理解した。 「ワイルドアーマー、ダンダリオン……!」 『うそっ!   ワイルドアーマー!?   そんな!   反応すらなかったのに!』  かすかに見える空を見上げ、そこに無数のヘリが飛んでいるのに気付いた。 「なるほど、ヘリで無理やり牽引してきたか!」 『しかもすべてステルス搭載型!なんて効率の悪い!!』 「それだけ俺たちは邪魔と考えていいのか?」  舌打ちしながら相手をにらみつける。  砂塵が収まり、ダンダリオンの火器類が月光に向けられる。月光もライフルを構え、戦闘準備をする。 とりあえず軽口を言って、落ち着こうとする。アーダは一瞬考え、そして提案した。 『作戦放棄を提案します』 「無理だな。逃がしてはくれないだろうさ」 『……死なないで』 「ああ、生き残るさ。必ず」  そうしてブースターを噴かせる。     
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